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2022/10/31

【花巻図書館コラム・第2回】図書館を楽しもう!館内探検ツアー 〜3階・郷土資料室編〜

 

新しい図書館の実現に向けて、花巻市ではさまざまな活動を行っています。
今の図書館も、未来の図書館も、より多くの方に親しんでもらえるように、ちょっとした写真と文で、本や図書館にまつわるお話を紹介していきます。

 


 

花巻図書館外観

 

日頃から花巻市民をはじめ、多くの方々に親しまれている花巻図書館。
その館内を、花巻図書館司書の片島 博子(かたしま ひろこ)さんに案内してもらいながら深掘りする特集『図書館を楽しもう!館内探検ツアー』を全3回にわたってお届けしています!

 

館内を案内してくれた花巻図書館司書の片島博子さん

館内を案内してくれた花巻図書館司書の片島博子さん

 

シリーズ1回目の前回は、「2階・カウンター奥の書庫」を探検しました。

【第1回】図書館を楽しもう!館内探検ツアー 〜2階・カウンター奥の書庫編〜はこちら

 

2回目の今回は、「3階・郷土資料室」を探検します!

3階には「郷土資料室」「新聞資料室」があり、2階のカウンターに申請することで誰でも利用することができます。
閲覧室やカウンターのある2階から、古い紙の匂いが漂う階段を上って3階へ向かうと、左側に郷土資料室の出入口が見えてきます。

 

郷土資料室出入口

どんな資料が所蔵されているのか、一覧で分かりやすく示された「3階・郷土資料室」出入口

 

楽しみ方はよりどりみどり

 

片島さん「郷土資料室はその名の通り、岩手や花巻に関する歴史資料や、花巻ゆかりの作家の関連書籍、研究資料を所蔵している部屋です。
花巻の記事が掲載されている雑誌等も幅広く集めていて、利用者のみなさんから『花巻が載ってたよ』と教えていただいたものを収集することもあります」

 

郷土資料室内

出入口から見た郷土資料室内の様子

 

室内を見回し、2階の閲覧室や書庫と比べてみると、コンパクトにまとまっているような印象の郷土資料室。
しかし、本棚に並ぶ背表紙を眺めてみると、分厚い歴史書や花巻ゆかりの作家の絵本、民話や郷土料理、気候風土についてなど、花巻や岩手に関する幅広いテーマの蔵書が揃えられていることが分かります。

 

片島さん「歴史研究をされている方など、定期的に通ってくださる常連さんもいるんですよ。
他にも地域の記念誌作成の参考資料をお探しの方や、花巻の偉人『北松斎』について調べたいと相談してくれた小学生の子など、さまざまな方にご利用いただいています」

 

調べ物のために訪れてもよし、目的を決めずに偶然の出会いを求めに来てもよし。
花巻や岩手について、さらには周辺地域について、時には思いもよらない角度から教えてくれる……そんな蔵書が集まっています。

 

市町村史本棚

テーマごとに整理された蔵書が並ぶ本棚

 

郷土資料室内には2階閲覧室と同じく閲覧用のテーブルと椅子も用意されています。
本を持ったまま別の閲覧室へ移動しなくても、その場で気になる本をじっくり読むことができますね。
郷土資料室の蔵書はすべて貸出禁止のため、図書館外への持ち出しはできませんが、複数冊あるものは貸し出し用として2階閲覧室や書庫にも置いてあり、借りることができるのだとか。
借りたい一冊を見つけたら、職員の方に相談してみましょう!

 

北の文学

貸出禁止の赤いシールがついていなくても、閲覧は郷土資料室内で

 

図書館ならではの宮沢賢治ラインナップ

 

多くの偉人のゆかりの地である花巻市ですが、花巻図書館に所蔵されている宮沢賢治に関する資料は特に豊富。
童話作家や詩人として知られる彼の作品は、絵本から詩集まで、同じ作品でも異なる出版元、装丁、挿絵のものなどがバリエーション豊かに揃えられています。

 

片島さん「現在も多くの人が研究対象としている賢治作品の数々。
代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』も研究が進むにつれて最終稿が変化していった作品です。
当館では出版初期のものからさまざまなバージョンを取り揃えているので、どんな違いがあるのか読み比べてみるのも面白いですよ」

 

また、宮沢賢治は学校教育、農業、仏教など、文学以外の視点からも考察される人物。
そんな彼自身についての研究も盛んで、古いものから新しいものまで、花巻図書館で収集した資料の数々が郷土資料室の本棚にずらりと並んでいます。
壁一面に並べられた本棚の、その全てが宮沢賢治に関する蔵書だというのだからびっくり!
彼の人となり、生きた時代、関わった人々や学んだこと。
あらゆる視点から知ることで、今なお広く愛されている彼の作品についても理解を深められそうです。

 

宮沢賢治資料

大きな本棚3つ分、全て宮沢賢治に関する資料

 

所蔵されている資料は一冊丸ごと宮沢賢治について書かれたものばかりではなく、わずかに関連事項が掲載されている程度のものもある様子。
情報量の多さに関係なく幅広く資料を収集している反面、探しにくいものもあるのだとか。

 

片島さん「賢治の文献を求めて、遠方からお問い合わせいただいたこともあります。
資料の情報を聞き取りしたところ古い雑誌に掲載された記事をお探しだったようで、図書館の蔵書をくまなく探して無事に該当資料を見つけ、情報をお伝えすることができたという事例もありました」

 

片島さんが教えてくれたこのお話が、いわゆる「レファレンスサービス」。
見つけづらい資料があったり、そもそもどんな資料を探せばいいのか分からなかったりする時に、職員の方が調べ物のお手伝いをしてくれるサービスです。
調べたいことや分からないことは、資料を探そうとしてもなかなか目的のものに辿り着けず、うまくいかないこともありますよね。
そんな時は、花巻図書館の「レファレンスサービス」を活用しましょう!
館内では2階カウンターで受け付けているほか、電話(図書館開館時間中)、メール(24時間受付)での問い合わせにも対応しているとのこと。
知りたいけれど分からなかったことを、図書館の力を借りて解決してみてはいかがですか?

 

片島さん「郷土や賢治についてのレファレンスは図書館職員にとっても多くのことを学ぶ良い機会になります。
たくさんのレファレンスをお待ちしています」

 

 

花巻や岩手について知りたい、花巻ゆかりの作家に触れたい、いつもと違う本が読んでみたい。
そんな方におすすめな、「3階・郷土資料室」を紹介しました。
ぜひみなさんも、学びを深めに、新たな発見をしに、郷土資料室に足を運んでみてください!

 

次回は館内探検ツアー第3回として「3階・新聞資料室」を紹介します。

【第3回】図書館を楽しもう!館内探検ツアー 〜3階・新聞資料室編〜はこちら

 


 

おすすめ本紹介コーナー【ぼくの・わたしの読んだ本】

 

花巻図書館にかかわるみなさんに、おすすめの本を紹介してもらいました!

 

●紹介テーマ:秋、冬になると読みたくなる本
●紹介してくれた人:岡田さんご家族(岡田圭介さん、岡田芳美さん、お子さん2人)

 

〈岡田圭介さんのおすすめ本〉

 

お探し物は図書室まで(書影)

『お探し物は図書室まで』

 

著:青山 美智子
発行:ポプラ社

 

●あらすじ

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。

(出典:ポプラ社. “お探し物は図書室まで|一般書|小説・文芸|本を探す|ポプラ社”. ポプラ社. https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008304.html)

 

●おすすめポイント

本屋大賞にノミネートされていた作品のため興味があったことと、温かみのある表紙に惹かれたことから読み始めた一冊。
「どんな本もそうだけど、書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ」というセリフが気に入っています。
読んでいく中で心に残ったのは、少しだけ立ち止まること、そして一歩踏み出すこと。
本との出会いが新たな気づきのヒントを与えていくところもいいなと思いました。
仕事に悩みを抱えていたり、少しお疲れ気味な方、心温まる本を探している方などにおすすめです。

 

〈岡田芳美さんのおすすめ本〉

 

ティモシーとサラの絵本 チューリップのにわ(書影)

ティモシーとサラの絵本 (1)『チューリップのにわ』

作/絵:芭蕉 みどり
発行:ポプラ社

 

●あらすじ

ティモシーとサラは、さびしくなってしまった庭に、チューリップを植えようと球根を買いにでかけます。

(出典:ポプラ社.  “チューリップのにわ|ティモシーとサラの絵本|創作絵本(国内)|本を探す|ポプラ社”. ポプラ社. https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/3690001.html)

 

●おすすめポイント
子どもの頃、このシリーズが家にあったのでいつも読んでいました。
最近では実家から借りてきて子どもたちとも楽しんでいます。
特に気に入っているのが、球根を買いに行った帰りに転んでしまう場面。
花色ごとになっていた球根がバラバラになってしまったのですが……「咲いてからのお楽しみね」と声を掛けられる母親とその家庭のあたたかい雰囲気が好きです。
このお話を通して、秋にはリンゴを収穫して春に向けて花だんを作って、そんな四季を楽しむ気持ちを改めて感じました。
そして子どもたちだけでおつかいに行くハラハラドキドキ感……!
4、5歳くらいのお子さんにぜひ読み聞かせしてあげてほしい一冊です!

それと、やはり子どもの頃に家にあった本は、大人になっても記憶に残っているので……図書館で借りてみて、特に気に入ったようであれば手元に置くというのもおすすめです♪

 

今回紹介した本は花巻図書館にて貸出しています。
以下のリンクから検索や予約ができるので、気になる本はぜひチェックしてみてください!

花巻市立図書館 (apsel.jp)